東邦生命最後の総代会議事録

第52回定時総代会議事録

平成12年1月14日午前10時02分から、東京蔀渋谷区渋谷2丁目15番1号、東邦生命ビル9階会議室において定時総代会を開催した。

当日の出席総代は次のとおりである。
平成12年1月14日現在の総代
103名(定数110名)
出席総代数 101名(うち委任状出席52名)

10時02分に事務局より、本日の出席総代数が総代の2分の1以上であり、当総代会が適法に成立した旨報告があった。続いて保険管理人 社団法人生命保険協会 山口副会長から、議事に先立ち、次のとおり説明がなされた。
東邦生命の定款第22粂によると、「総代会の議長には社長がこれに当たり、社長に事故あるときは、予め取蹄役会の定めた順序により、他の取締役がこれに代わる。」と定められている。しかしながら、皆様ご承知のとおり、現在、 東邦生命を代表し、業務の執行及び財産の管理を行う権利等は、公認会計士1名、弁護士1名及び生命保険協会の3者から構成された保険管理人に専属していることから、3人の保険管理人を代表して、私、生命保険協会の山口が、本日の総代会の議長として、議事の進行を務めさせていただく。

続いて、さこ川社長から次のとおりお詫びの挨拶があった。
総代をはじめ、ご契約者の皆様には、私どもの力が及ばないばかりに今日の事態を招き、多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げる。

続いて、議事に先立ち、臨時総代会を開催し、決算期日の延期を決議した平成11年7月12日以後の状況について、議長から保険管理人として次のとおり報告がなされた。
当社の財務状況の把握については、保険管理人が資産・負債の精査を行った結果、平成11年9月末の時点で約6500億円の債務超過状態にあることに加え、現下の金融情勢においては、将来に亘って毎年約600億円の利差損が発生することが判明した。
金融監督庁長官から命令を受けた保険契約の移転計画の策定に係る手続については、移転先候補者の選定にあたって、当社のご契約者の保護を図るために、公正性・透明性の観点から、外部コンサルタントとしてプライス・ウォーターハウス・クーパースを起用し、8月下旬から具体的な手続を開始した。以後、同社を交渉の窓口として、複数の候補者から「移転後の事業計画」、「契約条件の変更内容」、「将来収益の評価」等について回答いただいた内容をもとに保険管理人において慎重に検討を行った。その結果、保障の継続・サービスの提供等といった当社のご契約者保護の観点等から総合的に判断して、GEエジソン生命が当社の保険契約の移転先として最も適当であるとの結論に達した。
そこで、同社に契約条件の変更を伴う保険契約の移転を行う計画を策定し、平成11年12月22日に金融監督庁長官の承認を受け、また同日、同社との間で保険契約の移転契約を締結した。
「経営責任明確化のための対応」については、保険管理人は、金融監督庁長官から、「保険契約の移転に関する計画」の策定とともに、東邦生命の経営責任明確化のため調査委員会を設置し調査を行うことを命じられている。これを受け、弁護士3名、公認会計士1名の方々に委員への就任をお願いし、8月上旬から調査を開始している。調査委員会は、旧経営陣等の職務上の義務違反等に基づく刑事上、民事上の責任の有無について調査を行い、告訴、告発及び提訴の必要性や妥当性等を含め、平成12年1月末を目処に保険管理人に報告することになっており、それを受けて保険管理人において内容を検証する。調査内容にも影響を及ぼす恐れがあり、この場で調査内容について報告することはできないが、その点はご容赦いただきたい。なお、当然のことながら、調査報告書の内容を検証した結果、必要があると判断すれば、厳正に対処したい。
また、道義的責任追及の観点から、経営破綻前に退職した役員の退職慰労金について返還の要請を行うことも考えて行きたい。

以上、昨年7月12日以降、当社の保険契約移転計画を策定するまでの経緯についての報告があった。

続いて、総代からの事前質問に対する回答があった。
総代Aからの「移転計画の策定に時間がかかったのは何故か」との質問に対しては、次のとおり議長から回答があった。
今回の移転計画をとりまとめるにあたっては、救済保険会社、すなわち、契約の移転先を選定し折衝するというプロセスが生じた。日産生命との比較で言えば、同社の移転計画をまとめる際には、救済会社が現れないことが比較的早く判明したため、生命保険協会でやむを得ず緊急避難的に「あおば生命」を設立し、それを移転先とすることで、結果的には処理を迅速に進めることができた。それに対して今回は、保険管理人が救済候補会社を募ったところ複数の会社から応募があり、その中から最終的にGEエジソン生命に決定するまでに時間を要したこと。また、同社と交渉を開始してからも、資産・負債の精査に相当程度の時間を費やさざるを得なかったことが移転計画の策定に時間を要した理由である。

続いて議事に入った。議事に対する説明は本日配布した参考と朱記した「定時総代会招集ご通知」(以下「招集通知」と記す)ならびに「定時総代会参考資料」(以下「参考資料」と記す)によりなされた。

はじめに、報告事項として平成10年度事業報告書の内容について、議長の指示により中野保険管理人総括補佐から次の説明があった。
お手元の「招集通知」の2頁を参照いただきたい。事業の経過及び成果に関して、日本経済と業界の動向については、平成10年度の日本経済は、金融システム不安を背景とした信用の収縮や雇用・所得の先行きに対する不安を背景とした消費の低迷によって国内需要が落ち込み、企業の生産調整や設備投資・雇用を抑制するリストラの強化により、実体経済が大きく低迷した。生命保険業界においても、未曾有の超低金利の長期化による逆ざやの問題が経営を圧迫し、個人消費の低迷による新契約高の伸び悩みや家計リストラによる既契約の見直しによって保有契約高が減少する等、厳しい経営環境が続いた。

次に、事業の経過については、平成10年度は、当社にとってGEキャピタル・サービス社との提携後、現契約の管理業務と資産運用業務に専念する新たな体制の下でのスタートの年であり、提携時の計画が順調に遂行できるよう体制基盤の整備に努めるとともに、事業の一層の効率化と健全化に努めてきた。
資産運用分野においては、安定的な運用収益の確保を図るとともに、リスク管理債権については売却等により残高を大幅に圧縮し、資産内容の健全化に努めた。
人事・総務分野においては、効率的な業務運営体制を確立し事業費の削減に努めた。
決算期後に生じた重要な事実については、後程説明する。
「招集通知」の5頁を参照いただきたい。「6.基金拠出者」として、12月29日付で送付した「定時総代会招集ご通知」には、「新日本証券ファイナンス株式会社」と記載があるが、本日配布の「招集通知」に記載のとおり「新日本ファイナンス株式会社」が正しい社名であり訂正させていただく。
続いて、お手元の参考資料の1頁を参照いただきたい。ここでの決算数値は、第1号議案で承認をいただく予定の保険管理人作成の決算修正案に基づくものなのでご留意いただきたい。
業績の概要については、3年間の事業成績の推移を載せている。
平成10年度の特徴は、先程、「事業の経過」で述べたように、新契約業務を行わなくなったことである。
期末保有契約高について説明すると、個人保険は15兆7912億円、個人年金保険は年金原資額で1兆8916億円、団体保険は2兆5013億円と、いずれも前年比でマイナスとなり、合計の年度末保有契約高は上段の表にあるように20兆1843億円と大幅に減少した。また、団体年金保険は責任準備金で2462億円となった。
次に、収支の概要については、後程、第1号議案の中で詳細に説明させていただくが、経常損失は2107億円という極めて厳しい結果となった。参考資料2頁の中程に記載のとおりである。このため、社員配当金については、誠に遺憾ながら、全保険種類においてお支払いすることができなくなった。
なお、資産については、当期中に4305億円減少し、期末総資産は2兆5708債円となった。

続いて、平成10年度の評議員会、契約者懇談会の開催状況について次のとおり報告があった。評議員会については、平成10年6月、平成10年12月、平成11年3月に開催し、決算の概要や定時総代会への付議事項等、会社経営に関する重要事項について諮問し、ご意見を頂戴した。また、契約者懇談会については、平成10年10月中旬に全国45カ所で開催、総計873名のご契約者の参加をいただき、会社運営に関して幅広くご意見を頂戴した。

最後に、決算期後に生じた重要な事実について、次のとおり説明があった。
参考資料の2頁の「2.」を参照いただきたい。当社は、平成10年度決算において、会計監査人から、決算の処理に対して「会社の財産および損益の状況が正しく示されていない」との指摘をされた。会計監査人の不適法意見については、後程、改めて説明させていただくが、指摘どおりの追加処理を行った場合には大幅な赤字決算となることが判明したため、当社は事業を継続することが困難であると判断し、平成11年6月4日、金融監督庁長官に対して業務停止命令の発動を上申した。
同日、保険業法第241条に基づく業務の一部停止命令を受け、それに引き続き、翌6月5日に、保険管理人による業務および財産の管理を命ぜられた。保険管理人には、公認会計士の杉山茂八、弁護士の小杉晃ならびに社団法人生命保険協会が選任され、同時に保険業法第247条第1項に基づき、東邦生命に係る保険契約の移転に関する計画の作成を命ぜられた。この時以降、当社を代表し、業務の執行ならびに財産の管理および処分を行う権利は、旧経営陣の手を離れて保険管理人に専属している。その後、移転計画策定のために必要な、膨大な資産および負債の査定作業と契約移転のための諸スケジュール日程を勘案した場合、定時総代会を定款所定の期日までに開催することが困難と判断し、7月12日に臨時総代会を開催して、定款の一部変更について承認をいただき、定時総代会の開催期日を延期することとした。
臨時総代会開催以後の状況については、先程、議長から報告のとおりである。

以上が平成10年度事業報告書の報告であった。

本件に関する事前質問は次のとおりであった。

(質問1)
1.質問者
総代B
2.質問内容
招集通知の8頁、子会社等の状況の注記5.に記載があるジ一・イ一・ファイナンシャル・アシュアランス・ジャパン社への715億3800万円の出資を行った理由、また、東邦生命との関係でジ一・イー・ファイナンシャル・アシュアランス・ジャパン社がどのような役割を果たしているのか。
3・回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
平成10年3月6日開催の臨時総代会、平成10年7月2日開催の定時総代会において報告したとおり、東邦生命とGEファイナンシャル・アシュアランス・ホールディングス社が、約720億円ずつを出資して新しい保険会社(GEエジソン生命)を設立する際に、両社からの出資は、主として、GEファイナンシャル・アシュアランス・ホールディングス社の子会社であるGEファイナンシャル・アシュアランス・ジャパン社への出資を通して行われている。その他、当社とGEファイナンシャル・アシュアランス・ホールディングス社との取引スキームの詳細に関する説明については、保険管理人に就任前の事柄でありご容赦願いたい。

続いて、第1号議案「平成10年度貸借対照表および損益計算書承認の件」について、議長の指示により堅山保険管理人補佐より次のとおり説明がなされた。

内容は、招集通知の10頁以下に記載のとおりであるが、本日はお手元にお配りしている参考資料に沿って説明をさせていただく。当社は、平成10年度決算に際して、取締役会において承認した計算書類に対して、会計監査人から不適法意見の表明を受けている。
原案に対する会計監査人の指摘事項から説明する。参考資料の4頁を参照いただきたい。会計監査人の指摘事項は4点ある。.第1は、貸付金の回収可能性を検討した結果、今後債権放棄することが決定している貸付金、担保不足の貸付金等に対し、約963億円の貸倒引当金の追加設定が必要と認められたこと。第2は、有価証券の時価を検討した結果、決算日現在、時価が著しく下落しかつ回復可能性が認められない有価証券に対し、強制低価法の適用による約1001億円の評価損の計上が必要と認められたこと。第3は、外貨建資産の為替差損の状況を検討した結果、取得日の為替相場で換算している外貨建資産のうち重要な為替差損が生じている外国債券および外貨建貸付金に対し、決算日の為替相場との差額について約201億円の為替差損の計上が必要と認められたこと。第4は、貸借対照表の繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、将来の収益力に基づく課税所得が十分でないため、繰延税金資産約91億円は計上すべきではないと認められたことであり、総額で約2256億円の修正が必要であるというものであった。
保険管理人としても、当該原案は、法令および定款に違反し会社の財産および損益の状況を正しく示していないと考えているところであり、保険管理人の判断により、原案に会計監査人から指摘のあった以上の4点を反映させた「修正案」を作成し、本定時総代会において、同案について審議の上、当社の平成10年度計算書類としてご承認いただきたいと考えている。
参考資料の5頁を参照いただきたい。平成8年度、9年度、それに平成10年度の原案と対比して、承認いただきたい修正案の損益計算書を記載してある。まず、当期の経常収益は7615億円で、対前年比67.5%の減少となった。その内訳の主なものとしては、保険料等収入が3589億円で対前年比31.1%の減、資産運用収益が1078億円で対前年比50.5%の減である。その他経常収益は2947億円で、そのほとんどは責任準備金戻入額である。続いて経常費用については9722億円となり、対前年比58.5%の減少となった。その内訳の主なものとしては、保険金等支払金が6726億円で対前年比68.9%の減、資産運用費用は、有価証券評価損1296億円、貸倒引当金繰入額1002億円等により、2533億円となり、前年の約3倍に増加した。一方、事業費は、404億円で対前年比54.0%の減少となった。原案と比較すると、会計監査人の指摘を反映した結果、有価証券評価損、貸倒引当金繰入額が増加し、資産運用費用が2166億円増加している。この結果、経常利益はマイナス2107億円となった。次に、保有不動産の処分益230億円を特別利益として計上するとともに、保有不動産の処分損等232億円を特別損失として計上した。経常利益のマイナス2107億円に、これら特別損益を加減した税引前当期剰余はマイナス2109億円、法人税および住民税額を控除した当期未処分剰余金はマイナス2112億円となった。
次に、貸借対照表について説明する。参考資料の6頁・7頁に、平成8年度、9年度、それに平成10年度の原案と対比して、承認いただきたい修正案の貸借対照表を記載しているので参照いただきたい。総資産は前期末に比ベ4305億円、14.3%減少し、2兆5708億円となった。資産の部の主な科目については、「現金及び預貯金」は、当期中に928億円減少し、645億円で、総資定に占める割合は、2.5%である。コールローンは、前期未に比べて980億円減少し、480億円、総資産に占める割合は1.9%である.有価証券は前期未に比ベ312億円減少し、1兆1486億円、総資定に占める割合は44.7%である。貸付金は前期未より3034億円減少し、9304億円、総資産に占める割合は36.2%である。不動産および動産は、建設仮勘定を含め、前期末に比べ111億円減少し、1953億円となり総資産に占める割合は7.6%である。原案と比較すると、会計監査人の指摘を反映した結果、有価証券が1162億円、貸付金が40億円、繰延税金資産が90億円、総額で1274億円の減少となっている。負債および資本については、負債の大部分は責任準備金等の保険契約準備金であるが、2兆5331億円となっており、負債総額2兆7694億円の91.5%を占めている。責任準備金の積立方式については、10年チルメル方式を採用している。原案と比較すると、会計監査人の指摘に従い貸倒引当金を963億円積み増した分、負債の部の合計が増加している。

平成10年度貸借対照表、損益計算書についての説明は以上であるが、本議案に関連し、次の報告がなされた。
保険管理人は、本定時総代会において平成10年度決算案についての承認をいただくに際し、先程説明した修正前原案に不適法意見を表明した当社の会計監査人である監査法人トーマツに対し、総代会への出席を要請したが、監査法人トーマツからは、昨年、12月28日付で突然の辞任通知があり、総代会の出席も拒否された。監査法人トーマツに法的義務はないものの、辞任の撤回と総代会の出席を求めたが、協力を得ることは出来なかった。以上、会計監査人不在の事情についてご理解いただき、本議案のご審議をお願いする。なお、当然のことながら、議長からも説明のとおり、追って提出される調査委員会の報告内容を検証し、必要があれば監査法人についても厳正に対処する所存である。

続いて、本議案に関する事前質問内容および回答内容は以下のとおりであった。

(質問1)
1.質問者
総代C
2.質問内容
平成10年度貸借対照表において、修正前原案では約139億円の剰余金があったにもかかわらず、修正案では約2100億円の欠損金が生じている理由について。
3.回答者
堅山保険管理人補佐
4.回答内容
保険管理人作成の貸借対照表は、会計監査人の指摘事項を反映して作成しており、結果、資産の部では、有価証券が1162億円、貸付金が40億円、繰延税金資産が90億円、総額で1274億円の減少となっており、一方、負債の部では、貸倒引当金を963億円積み増した分、負債の部の合計が増加している。
(質問2)
1.質問者
総代B
2.質問内容
招集通知の13頁に記載されている原案の貸借対照表の注記と、同23頁に記載されている修正案の貸借対照表の注記を比較した場合に、注記1で、貸付金のうち、3ケ月以上延滞債権額、同様に、貸出条件緩和債権額、次に、注記19で、外貨建資産の額が異なる理由について。
3.回答者
堅山保険管理人補佐
4.回答内容
注記11で、貸付金のうち、3ケ月以上延滞債権額が修正前原案では83億2800万円であったものが、修正案では268億4700万円となった理由は、継続的に金利支払いがなされていたものの約定金利に満たない2社への貸付債権155億1900万円を条件緩和債権から3ケ月以上延滞債権に変更したことと、山一證券向け劣後ローン30億円について、劣後特約に基づく金利支払の停止は約定に基づくものとして、延滞債権には該当しないとの考えから除外していたものを、保険管理人の判断で3ケ月以上延滞債権に含めたことによるものである。 次に、貸付金のうち、貸出条件緩和債権額が修正前原案では457億9600万円であったものが、修正案では1580億1000万円となった理由は、主として当社関連会社である邦栄不動産向けの貸付債権1176億7600万円を追加したことによるものである。同社向けの長期貸付は、金利を長期プライムレートから短期プライムレートに引き下げており、条件緩和債権として追加したものである。 注記19で、外貨建資産の額が修正前原案では5189億6900万円であったものが、修正案では4683億2400万円となった理由は、会計監査人の指摘事項である強制低価法適用による評価損の計上1001億円中の外国証券分305億1500万円と重要な為替差損の計上201億2800万円を指摘に従い修正した結果、外貨建資産が506億4500万円減少したことによるものである。
(質問3)
1.質問者
総代D
2.質問内容
子会社の実質B/Sと処理方針について。
3.回答者
堅山保険管理人補佐
4.回答内容
当社の子会社は、「東邦ビル管理」、「東邦事務サービス」、「東邦映像センター」、並びに「東邦生命ルクセンブルク」、「東邦アメリカインターナショナル」、「東邦アメリカリアルティ」、「東邦生命ケイマン」、「東邦生命インターナショナル」であり、国内3社と海外法人5社の計8社であるが、すべて清算の予定である。国内3社のうち、「東邦ピル管理」と「東邦映像センター」については既に清算済であり、清算に伴う損失はない。「東邦事務サービス」は、3月に清算開始予定で、出資額は回収できる見込である。海外法人5社については、現在、保有資産の処分をすすめているところであり、処分完了後清算を行うことになる。清算にあたっては、為替等の影響により、一定の損失が見込まれるが、この点は、移転計画の策定にあたり織り込み済みである。

以上の説明の後、第1号議案に関する議場質問に入った。議場質問内容および回答内容は以下のとおりであった。

(質問1)
1.質問者
総代E
2.質問内容
貸借対照表における「再保険貸」について説明のこと。また、貸借対照表における「その他の資産」については、決算原案では600億円であったが、修正案では618億円に増えているのは何故か。
3.回答者
堅山保険管理人補佐
4.回答内容
再保険貸とは、他の生命保険会社との再保険契約に基づく資産であり、東邦生命が出再している場合と東邦生命が保険契約を引き受ける場合に生じる。 その他資産については、種々の資産により構成されており、詳細についてはご容赦願いたい。
(質問2)
1.質問者
総代F
2.質問内容
貸借対照表における有価証券について、決算原案と修正案との間の差異が大きいが、同じ平成11年3月31日時点評価においてこれだけの差異が生じるのは何故か。また、貸付金についても、決算原案と修正案との金額の差異について説明のこと。
3.回答者
堅山保険管理人補佐
4.回答内容
有価証券の決算原案と修正案との差異については、監査法人からの指摘に、有価証券の時価を検討した結果、決算日現在時価が著しく下落しかつ回復可能性が認められない有価証券に対し、強制低価法の適用による1001億円の評価損の計上が必要と認められたという事項があることから、修正案において対応したものである。次に、貸付金については一つ一つの銘柄の回収可能性を検討した結果、今後債権放棄が決定している貸付金、あるいは担保不足の貸付金等に対する引当を行うべきであるという指摘がされていることから、修正案において対応したものである。
(質問2-2)
1.質問者
総代F
2.質問内容
平成11年3月31日時点の評価の差が極めて大きいことについて、より詳細に説明いただきたい。平成10年3月31日現在の貸借対照表にも問題があるのではないか。
3.回答者
熊木保険管理人補佐
4.回答内容
有価証券の評価の差額が大きいということについて、基本的に監査法人の指摘事項である決算日現在、時価が著しく下落し、かつ回復可能性が認められない、即ち期末において取得価格の50%超下落した有価証券の含み損の総額が、平成11年3月期に計上されているということである。なお、平成10年3月期の状況については、問題等があるか否かを調査委員会が調査するため回答はご容赦願いたい。 また、貸付金についても、963億円の貸倒引当金の積増しがあるが、これは平成11年3月末において、貸付金の回収可能性を検討した結果、将来、債権放棄を予定されているもの、あるいは担保の下落等によって不足が大幅に生じているものが総額963億円あるということである。貸付金についても、平成10年3月期の状況については、問題等があるか否かを調査委員会が調査するため回答はご容赦願いたい。
(質問3)
1.質問者
総代B
2.質問内容質疑
  1. 修正案が決算原案に対する監査法人の指摘に基づいて修正が行われているが、修正案に対して監査法人からの報告書ないしは総代会に出席してその妥当性についての意見を聞けなかったことは由々しき問題と考える。この点について、監査法人の安住がどうなるかということを説明のこと。
  2. 次に、平成11年3月末時点での資本金の部のマイナスが1900億円であったのが、平成11年9月末には6500億円の債務超過となっているが、債務超過額が4500億円増えたことについて説明のこと。
3.回答者
  1. 中野保険管理人総括補佐
  2. 山口議長
4.回答内容
  1. 関係監査法人不在の件については、保険管理人が総代会への出席を働きかけたものの、監査法人に出席いただけなかったということである。この点について、監査法人に法的な義務はないと理解はしているが、かつての監査の中で問題があったら厳正に対応したいということで了承願いたい。
  2. 債務超過額が6500債円となった具体的な理由については第3号議案の説明の中で詳しく説明させていただく。
(質問4)
1.質問者
総代F
2.質問内容
平成10年度の決算原案及び修正案と平成11年9月末における債務超過額6500億円の落差が大きくなったのは、監査法人と経営者の評価の観点が違うということが理由なのか。
3.回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
保険管理人は平成11年6月5日に任命され、移転計画を作成したのであり、過去の全ての決算を洗い上げ、評価方法を精査している訳ではないため、過去の評価についてはご容赦いただきたい。また、ご指摘の落差がどうして生じたのかということについても、過去に民事及び刑事上、提訴・告発等を行う事由があれば、調査委員会から保険管理人に報告されることになっており、それを検証した後、しかるべき厳正な対応をすることになると考えている。

以上の質疑応答の後、第1号議案の決議に入った。議長より賛成の総代の挙手をお願いした結果、賛成多数により第1号議案は原案どおり承認可決された。

続いて、第2号議案「平成10年度損失処理案承認の件」について、議長の指示により堅山保険管理人補佐より次のとおり説明がなされた。
招集通知の27頁をご覧いただきたい。損益計算書に関して報告したとおり、当期未処理損失が2112億5335万円となったが、この未処理損失については、定款第48条の規定に従い、お手元の損失処理案に記載のとおり、任意積立金、社員配当準備金、法定の準備金である損失てん補準備金、基金償却積立金および再評価積立金の全額を取り崩すこととする。これらの任意積立金、社員配当準備金と法定準備金を取り崩した残りの次期繰越損失は2071億201万8千円となった。
以上の説明の後、議場質問が無かったため、議長が第2号議案の採決に入った。賛成の総代の挙手をお願いしたところ賛成多数のため、第2号議案は承認可決された。

続いて第3号議案「保険契約移転の件」について、議長の指示により中野保険管理人総括補佐から次のとおり説明がなされた。
当議案は、GEエジソン生命保険株式会社に、当社の保険契約を包括して移転することについて承認を求めるものである。当議案については、招集通知28頁から35頁に記載しているが、これを含めて、お手元の参考資料の8頁以下に詳細をまとめており、参考資料にしたがって説明させていただく。
まず、東邦生命の現状については参考資料の8頁「1.」を参照いただきたい。そこに記載のとおり、当社は、平成11年9月末現在で約6500億円の債務超過状態にあることに加え、現下の金融情勢においては、契約全体の平均予定利率を下回る運用実績から、将来に亘って毎期約600億円の利差損が発生することが判明した。このことから、保険管理人は、保険契約者等の保護及び保険契約の存続を図るために、生命保険契約者保護機構による資金援助が行われることを前提として、GEエジソン生命に契約条件の変更を伴う保険契約の包括移転を行うこととした次第である。
次に、保険契約等移転計画の概要については参考資料の9頁の全体像を表した図を参照いただきたい。本移転計画は、東邦生命からGEエジソン生命にすべての保険契約を、資産とともに包括して移転する。その際、法令に基づき責任準備金等の削減を行うほか、予定利率の見直し等、契約条件の変更を行う。この際、約6000億円の要処理額を、GEエジソン生命が営業権として資産計上する約2340億円と、保護機構からの資金援助約3600億円により賄うものである。
補足説明を3点申し上げると、1点目は、当社の現状として説明した平成11年9月末現在の約6500億円の債務超過額と、第1号議案で説明した平成11年3月末現在の貸借対照表における約2000億円の債務超過額との、約4500億円の差額についてである。参考資料8頁の上の表を参照いただきたい。これは、9月末時点ですべての資産を時価評価したものである。差額4500億円は、時価評価による評価減であり、その内訳は、有価証券約2200億円、貸付金約1100億円、不動産約1000億円が主なものである。
2点目は、平成11年9月末現在の約6500億円の債務超過額と移転計画の概要で説明した、保険契約の移転に際しての要処理額約6000億円との相違についてである。これは、後程説明する契約移転に伴う責任準備金等の負債の削減、9月末から移転計画作成時点までの資産価格の変動や清算会社に一部資産を存置すること等によって生じたものである。
3点目は、保護機構からの資金援助額は、契約移転日までの今後の資産や為替の変動により価格変動が反映されるため、確定的なものではないということである。
続いて、「保険契約等移転契約の要旨」について説明させていただく。参考資料9頁の「3.」を参照いただきたい。GEエジソン生命と昨年12月22日に締結した「保険契約等移転契約」の要旨は、そこに記載のとおりである。
要点は、第1に、当社の保有する保険契約をGEエジソン生命に包括して移転する。これは、原則、当社の保有契約をすべて移転するということである。
第2に、保険契約の移転を行うに際しては、後程説明する保険契約の条件変要を行う。
第3に、保険契約の移転に伴い、先程「移転計画の槻要」で説明したとおり、保険契約とともに原則としてほとんどの資産、すなわち移転する負債の額から保護機構による資金援助額を除いた金額に相当する価額の当社の財産、これにはGEエジソン生命で資産計上される「のれん」、すなわち営業権を含む、をGEエジソン生命に移転する。
第4に、保険契約の移転の実施は、総代会の決議のほか、ご契約者の皆様からの異議申立てが一定数以下であること、金融監督庁長官の保険契約の移転に係る認可が行われること、及びその他GEエジソン生命との間で合意された一定の事項、が満たされることを条件としている。一定の事項とは、GEエジソン生命の株主総会決議、生命保険契約者保護機構からの資金援助が実際になされること等である。

次に、保険契約の条件変更について説明させていただく。参考資料の10頁を参照いただきたい。まず、①に記載のとおり、契約条件変更の変更基準日は、総代会の開催公告を行い、保険契約に係る支払のすべてを停止した平成11年12月29日となる。
続いて、契約条件変更の主要な内容について説明させていただく。まず、10頁の②に記載のとおり、契約条件変更の対象とする契約は、GEエジソン生命に移転される保険契約のうち保険業法第250条第3項および保険業法施行令第37条に規定される特定契約を除くすべての保険契約である。特定契約とは、保険契約に係る支払いのすべてを停止した時、すなわち平成11年12月29日において既に保険事故が発生している保険契約及び同時点において既に保険期間が終了している保険契約をいう。
次に、③に記載のとおり、責任準備金等の削減を行う。先程も説明したとおり、当社は平成11年9月末現在で約6500億円の債務超過状態にあり、ご契約内容を履行するために準備している責任準備金等に対応する資産が不足している。そのため、法令に基づき責任準備金等の削減を行うが、保護機構からの資金援助により、先程申し上げた変更基準日である平成11年12月29日時点の責任準備金等の90%が補償され、削減は10%こ抑制される。また、記載のとおり、個人年金保険、財形保険、財形年金保険の責任準備金等については、法令に基づく特例措置として、条件変更時点の100%が補償される。個別の取扱いの基準は、記載のとおりである。
次に11頁の④に記載のとおり、予定利率の引下げ等の基礎率の変更を行う。当社においては、実際の資産運用利回りが予定利率を下回ることによる利差損が毎期約600億円発生することが見込まれている。予定利率引下げ等の計算基礎率の変更は、この将来の損失を回避し、保険金等の支払いを確保するために必要なものである。具体的には、すべての保険契約の予定利率を、現行の運用水準を踏まえ年1.5%に変更するとともに、保険料の前納割引利率を年0.5%に、予定死亡率を当社における最新の水準に、予定事業費率を保有契約の平均的な水準にそれぞれ変更する。変更後の予定利率となる1.50%という水準は、現行の運用水準ならびに将来予測を踏まえ、やむをえないものであることをご理解いただきたい。
次に、⑤に記載のとおり、保険金額、年金額等の変更を行う。責任準備金等の削減及び予定利率の引き下げを行う場合には、保険金額・年金額等を削減するか、保険料を引き上げるかのいずれかを行うことが必要になるが、本計画では、保険料は原則として従前のままとし、保険金額、年金額、給付金額を減額することとした。特約についても、原則として主契約と同一割合で変更する。解約払戻金についても変更する。一方、満期日、年金開始日、保険料払込期間、保険料払込方法(回数)等は変更しない。なお、個人保険、団体保険、医療保障保険、就業不能保障保険において平成13年3月末までに発生した死亡、入院等の保険事故に対しては、保険業法附則第1条の3に基づく特例措置により、条件変更後においても、条件変更前の保険金額、給付金額が支払われる。
以上の契約条件変更後の具体的な保険金額・年金額については、参考資料の18頁以下にモデルを掲載しているので、参照いただきたい。モデルの見方を簡単に説明すると、左側に保険種顛と契約年齢があり、その右側に、男女別・経過年数毎に数字が記載してある。この数字が、条件変更前の保険金額・年金額を100とした場合の変更後の保険金額・年金額を表している。保険種類欄に一時払または全期前納の記載のあるものを除き、口座振替月払を前提としている。「マル」を記したところを参照いただきたい。
15年満期の養老保険に30歳で1994年度に加入した男性のケースであるが、この場合、変更前の満期保険金額を100とした場合、変更後は満期保険金額が83になることを表している。
もう1例、契約条件の変更による影響が大きいものの説明をする。参考資料の20頁を参照いただきたい。
一番下に、新健康年金保険で、10年保証期間付終身年金の全期前納のモデルが掲載してある。この商品では、総じて契約条件変更後の減額幅が非常に大きくなっている。中でも、「マル」を記した1992年度に30歳で加入された女性の欄をご覧いただきたいが、変更前の年金額「100」が「22」に減額となっている。しかしながら、参考資料の22頁上段の表の「マル」を記したところを併せ参照いただきたい。この表は、受取年金額の累計予想額と払込保険料を比較したものであるが、減額幅が大きいこの例で見ても、表にあるように、受取年金額の累計は、払込保険料を上回っており、減額幅と併せてご理解いただきたい。

ここで、契約条件変更による影響について簡単に説明する。
保険金額・年金額の変更については、商品別では、定期保険や医療保険等、保障性の高い商品では保険金額等は減少しないか、減少幅は小さくなり、個人年金保険、一時払終身保険等貯蓄性の高い商品では、減少幅が大きくなる。また、契約蹄結の時期別では、予定利率が高い時期に締結された保険契約ほど、保険金額等の減少幅が大きくなる。具体的には、平成4年度以前の契約は5.5%、平成5年度の契約は4.75%、平成6年度および平成7年度の契約は3.75%が多くなっているので、特に、平成4年度以前に締結された保険契約については、保険金額等の減少幅が大きくなる。契約条件の変更については、契約者間の公平性を第一に考えて作成しておりご理解いただきたい。

次に、参考資料の11頁を参照いただきたい。
⑥に記載のとおり、早期解約控除制度の導入を行う。これは、すべての保険契約の解約払戻金等の支払いに対し、表にある控除率、即ち、平成13年3月までに解約等をされた場合には15%、13年4月から平成14年3月までは14%、以下、表に記載されているとおり、年度毎に逓減する解約控除率を乗じ解約払戻金等から差し引いた額を支払うものである。
今回の契約条件の変更を伴う移転計画は、保険契約を継続していただくことにより保険集団が維持されることが前提となっており、保険集団が維持されない場合には、契約条件の変更について影響が出てくる。
すなわち、契約移転後においても保険集団を維持していく必要性があるという観点から早期解約控除制度を設定するものであり、保険契約を継続していただければ、対象とはならない制度であることをご理解いただきたい。個別の取扱いの基準は、参考資料12頁の上段に記載のとおりである。

次に、参考資料12頁の⑦をご覧下いただきたい。
個人保険、個人年金保険、財形保険、財形年金保険および団体年金のうちの有配当契約に対しては、GEエジソン生命への契約移転後の契約者配当金について12頁に記載のとおり割り当てることとする。

次に、参考資料の13頁の⑧を参照いただきたい。
「その他」として、細かなものを記載している。主なものは、個人保険及び個人年金保険の責任準備金の積立方式を全期チルメル式に変更すること、また、個人保険の交通災害保障特約を傷害特約及び災害入院特約に変更する等であるが、それらについて、13頁に記載のとおり、契約内容の変更を行う。
なお、参考資料14頁(2)の②に記載のとおり、保険業法に基づき業務の一部停止が行われた平成11年6月4日から、GEエジソン生命に保険契約が移転された後1週間が経過するまでの間は、保険金・給付金等の支払いが遅れたことに伴う遅延利息を付さないものとするが、当社の現状に鑑みご理解いただきたい。

最後に、保険契約の移転先であるGEエジソン生命の概要について説明する。
招集通知の31頁を参照いただきたい。GEエジソン生命は、皆様ご承知のとおり、当社とGEキャピタルサービス社との提携により平成10年2月に設立され、同年3月に保険業の免許を取得・同年4月から営業を開始している。同社の貸借対照表及び損益計算書については、招集通知の32~35頁を参照いただきたい。
以上、第3号議案に関して、保険契約移転計画の概要、移転契約の要旨、契約条件変更の主要な内容及び移転先であるGEエジソン生命の概要について説明した。

最後に、「本議案が承認された場合の今後の予定」および「否決された場合の影響」について説明する。
まず、「本議案が承認された場合の今後の予定」であるが、本議案を承認いただいた場合は、すべてのご契約者のご判断を仰ぐことになる。具体的には、明日、保険契約の移転および契約条件変更の内容等について、日本経済新聞・朝日新聞・読売新聞・毎日新聞・産経新聞の5紙に公告を行う。
併せて、本日、お手元に配付している封書入りの文書をご契約者全員に郵送する。
お手元文書を確認いただきたい。ご契約者の皆様には、通知文書により、保険契約の移転および契約条件変更の内容等をご確認いただき、異議がある場合には、異議申立てをしていただくことになる。
異議申立ての期間は、1月17日から2月17日までの1カ月間であるが、異議申立て期間内に、ご契約者総数の10分の1を超えるご契約者の異議申立てがなく、または、異議申立て者の積立金がご契約者全員の積立金の10分の1を超えなければ、保険契約の移転について金融監督庁長官に申請を行い、その認可を得て、保険契約および財産の移転が実際に行われることになる。
現時点での予定では、今申し上げた移転に関する諸対応が順調に進んだ場合には、3月1日の移転を予定している。なお、ご契約者の皆様の、ご契約毎の、契約条件変更後の契約内容については、お手元ご通知文書に記載のモデル例で相当程度ご理解をいただけると思うが、1月下旬頃から順次照会に応じられるよう、現在会社を挙げてシステム対応等の準備をすすめているので、今しばらくご猶予をいただきたい。

次に、「本議案が否決された場合の影響」について説明する。
本総代会において本議案が否決された場合、あるいは、本総代会で承認された後にご契約者の異議申立てが成立した場合には、今回策定した移転計画は白紙に戻り、別の移転計画を再作成することになるが、その場合には、次のような問題が想定される。
まず、別の移転計画を再作成するとしても、契約条件変更の内容が本移転計画において定めるものよりも有利なものとなるという保証はない。
また、新たな移転先が見つかる保証もない。生命保険契約者保領機構が保険契約を引き受けるケースも考えられるが、この場合には、保護機構自身が、法令に基づいた、保険契約の維持管理だけを目的とする独立した組織となることから、保険会社としての種々のサービスは現時点より低下することが予想される。
また、保護機構においては、将来の収支の見積り等をより保守的に考える必要があり、保険契約の条件変更がより厳しいものになることが考えられる。
破産処理手続等に移行されることも考えられるが、その場合には、保護機構からの資金援助は行われず、ご契約者の皆様の保険契約は継続されず、保障もなくなる。
したがって、本議案が否決されることは、ご契約者にとって、現在の全面支払停止の状況が長期に亘って継続することになり、あるいは契約条件の変更等について、より厳しい内容になることが想定される。保険管理人としても、当社の現状を鑑みると、必要最小限のものと考えてはいるが、今説明したような契約条件の変更を行うことは、ご契約者の方々に多大な損失を与えることと思い誠に遺憾に思っている。しかし、同時に、保護機構から約3600億円の資金援助を得て、GEエジソン生命に保険契約の移転を行うことが、東邦生命のご契約者の皆様にとって、現在採り得る最善の方策であると考えている次第である。
「経営責任」については、先程、議長から説明したとおり、調査委員会の報告書を待って、必要があれば、厳正に対処していく考えであり、併せて考慮いただきたい。

続いて総代からの事前質問に対する回答があった。事前質問内容およびその回答は以下のとおりであった。

(質問1)
1.質問者
総代G、総代D、総代C
2.質問内容
平成11年3月末現在の貸借対照表における約2000億円の債務超過額が保険管理人作成の平成11年9月末場在の貸借対照表では約6500億円と、債務超過額が約4500億円増加している理由は何か。
3.回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
この点については、先程補足説明をしたとおり、平成11年9月末現在の貸借対照表では、保険契約の移転を前提にすべての資産を時価で評価したことにより、有価証券で約2200億円、貸付金で約1100億円、不動産で約1000億円の評価減等が生じたことによるものである。
(質問2)
1.質問者
総代D
2.質問内容
早期解約控除における控除率の算出根拠について。
3.回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
解約控除率については、当社においては、先程説明したとおり、責任準備金等に対応する資産が約28%不足しており、契約条件の変更について説明した責任準備金等の削減10%を引いた残り18%の不足分を下回る水準として、最大15%と設定した。控除率については、年度を追う毎に逓減するので、制度導入の趣旨に鑑みご理解いただきたい。
(質問3)
1.質問者
総代H
2.質問内容
契約条件変更後の個々の保険契約者の契約内容については、どのような形で通知されるのか。
3.回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
本議案を承認いただいた場合は、明日、保険契約の移転および契約条件変更の内容等について、新聞公告を行うとともに、ご契約者全員にお手元配布の封書入りの文書を送付し、保険契約の移転および条件変更の内容等について確認いただき、その後の異議申立てが不成立となった場合には、保険契約の移転について金融監督庁長官に申請を行い、その認可を得て、保険契約および財産の移転が実際に行われることになる。現時点では、3月1日を予定している。なお、個別の契約内容については、1月下旬頃から順次、照会に応じられるよう現在準備をすすめており、今しばらくご猶予をいただきたい。さらに、契約移転後は準備が整い次第、移転先会社であるGEエジソン・生命から条件変更後の契約内容を記載した通知をすべてのご契約者にお送りする予定である。
(質問4)
1.質問者
総代C
2.質問内容
  1. 東邦生命の破綻処理全容についての説明。
  2. このような状況に至ったことに対する評議員の責任について。
3.回答者
中野保険管理人補佐
4.回答内容
1.の点については、その点を踏まえて議案の説明をさせていただいたのでご理解を賜りたい。また、2.の点については、評議員の皆様には、大変多忙な中、東邦生命の諮問機関として、経営陣が諮問する事項又は経営上の重要事項に関して意見を頂戴してきたが、評議員は、いわばご契約者と会社とのパイプ役であり経営に関する責任を負う立場にはないと考えている。
続いて、第3号議案に関する議場質問に入った.議場質問内容およびその回答は以下のとおりであった。


(質問1)

1.質問者
総代J
2.質問内容
資産運用における一般の貸付と契約者貸付の利率は今後どのようになるのか。
3.回答者
堅山保険管理人補佐
4.回答内容
契約者貸付の利率は12月29日以降3.5%となっている。資産運用における一般の貸付については、GEエジソン生命の資産運用に関する事項であり、回答する立場にない。
(質問1-2)
1.質問者
総代J
2.質問内容
3・5%となる前の契約者貸付の利率はいくらか。
3.回答者
堅山保険管理人祷佐
4.回答内容
保険契約の契約時期によって異なるが、3.75%、4.75%、5.75%である。
(質問2)
1.質問者
総代C
2.質問内容
第1点目は保護機構からの3600億円の資金援助及び営業権2340億円の簡単な算定根拠を教えていただきたい。資金援助額については債務超過額6500億円から2400億円を差し引いた4000億円強くらいであってもいいのではないか。 第2点目は3月末時点での時価評価での債務超過額について説明のこと。
3・回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
第1点目について、9月末の時価評価による債務超過額6500億円に対し、法令に基づく責任準備金の削減及び移転計画作成時点までの評価額の修正等によって、要処理額は6000億円となった。この6000億円をどう負担するかということについて、複数の会社と交渉した結果、最大の営業権を提示した会社がGEエジソン生命であった。その額が2340儀円という数字であり、要処理額6000債円との差額について保護機構に資金援助を申請した次第である。 第2点目についてであるが、保険管理人は6月5日に就任して以降、現状の確認をするために資産負債の精査を行った訳であり、3月末時点での時価評価は行っていない。
(質問3)
1.質問者
総代H
2.質問内容
営業権と保護機構からの資金援助との関係について、要処理額が6000億円を超える場合にはエジソン生命において営業権の積上げがなされるのか。
3.回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
要処理額6000億円が変動する主な理由は、株価及び為替等の変動による資産価値の変動によるものである。この変動分については保護機構からの資金援助により賄われることとなっており、契約者の負担が増えるということにはならない。
(質問4)
1.質問者
総代K
2.質問内容
保護機構による資金援助の上限は4000億円と聞いているが、価格変動により、4000億円以上の資金援助が必要となった場合にどの程度まで補償されるのか。
3.回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
保護機構の定款・業務規程等について、保険管理人は意見を申し述べる立場にはないが、12月28日に保護機構において、契約移転日までの価格変動により資金援助額が増額されることになった場合でも資金援助していただくという形で決定しているので心配ないものと考える。
(質問5)
1.質問者
総代F
2.質問内容
責任準備金は保険会社の中で重要な役割の準備金であると考えるが、この準備金を削減する法的な根拠、及び総代会の承認等の必要な手続きはどのようなものか。また、半年間で負債が6500億円にまで増加しているが、評価方法を変えただけでいきなり4500億円もの差額が生じるものなのかどうかということについて説明のこと。
3.回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
 第1点目であるが、法令に基づく根拠は保険業法第250条である。この中に経営破綻した保険会社の保険契約を包括移転する場合には契約条件の変更ができることが定められており、責任準備金の削減はこの契約条件の変更に含まれるものである。手続きとしては、保険契約を移転させる側と引き受ける側のそれぞれの会社の総代会あるいは株主総会の特別決議、及び契約者からの異議申立てが不成立となること。また、最終的には金融監督庁長官から認可されること等が必要である。 第2点目であるが、3月末時点での債務超過額はこれまでの決算基準に基づくものであり、9月末時点での債務超過額は保険管理人が保険契約移転を前提として、全ての資産を時価評価したものであり、差額4500億円が生じた理由は以上である。
(質問5-2)
1.質問者
総代F
2.質問内容
法令に基づき責任準備金の削減が行われるという説明があったが責任準備金の削減について、明確な承認を経ないことにより、招集通知等の手続きに瑕疵があるのではないかと心配するが、その点についてはいかがか。
3.回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
責任準備金の削減あるいは契約条件の変更の承認をいただくという目的で総代会を招集しているわけではなく、保険契約の移転の承認をいただくことを総代会の招集の目的としている。保険業法上、保険契約の移転をするときに、責任準備金の削減を含む契約条件の変更ができることになっており、今回の総代会においても、保険契約の移転と同時に、責任準備金の削減を含む契約条件の変更を承認いただくということである。
(質問6)
1.質問者
総代B
2.質問内容
3600億円という金額は資金援助なのか。そうでなければどのように返還されるのか。
3.回答者
中野保険管理人総括補佐
4.回答内容
保獲機構から今回の契約移転に際して援助される3600億円については、救済保険会社に対する資金援助であり、保護機構において金融機関から借入れを行い、保護機構のメンバーが元利を返済していくことになる。
(質問7)
1.質問者
総代名未確認
2.質問内容
  1. 契約条件変更前の予定利率は何パーセントなのか。
  2. 総代は非常に重大な決断をする訳であり、本日委任状を提出している52名の賛否について報告のこと。
3.回答者
  1. 中野保険管理人総括補佐
  2. 山口議長
4.回答内容
  1. 過去の予定利率は参考資料の8頁に記載の通りである。契約年度によって予定利率は様々であり、平成4年度以前は5.5%、平成5年度は4.75%、平成6年及び7年度は3.75%が基本となっている。また、平成11年3月31日現在で計算した当社の契約全体の平均予定利率は4.79%である。
  2. 委任状を提出された52名の内、全案件について賛成の意思表示をされた方が51名であり、他の1名の方は第1号議案から第4号議案までは否認されているが、第5号議案以後は賛成である。
(質問8)
1.質問者
総代J
2.質問内容
本日の契約移転が決議されると、契約者としては、保険金額、解約返戻金の減額等がなされることになる。よって、契約者側の要望として、3.5%という貸付利率を引き下げるよう、会社側として検討のこと。
3.回答者
山口議長
4.回答内容
ご希望として承る。

以上の質疑応答の後、第3号議案の決議に入った。第3号議案の決議には、保険業法第136条の規定により、4分の3以上の賛成が必要であり、賛成総代の挙手をお願いした結果、現在出席の総代45名のうち44名と委任状により賛成の総代51名、合計95名の賛成があり、第3号議案は4分の3以上の賛成をもって原案どおり承認可決された。

続いて第4号議案「ジー・イー・エジソン生命保険株式会社への業務の一部管理委託契約解除の件」について、議長の指示により中野保険管理人総括補佐より次のとおり説明がなされた。

招集通知の36頁を参照いただきたい。本議案は、GEエジソン生命に当社の保険契約を包括して移転した場合に、業務を委託する必要がなくなることから、保険業法第149条に基づき、契約移転日と同日付で、現在行っている業務の一部管理委託契約を解除しようとするものである。業務委託の内容は、記載のとおりである。なお、12月29日付で送付した「定時総代会招集通知」では、GEエジソン生命に現行の業務管理委託を行った日付を平成10年3月27日と記載しているが、本日お配りした「招集通知」に記載のとおり、平成10年3月30日が正しい日付であり訂正させていただく。

事前質問および議場質問がなかったため、第4号議案の採決に入った。第4号議案の決議には、保険業法第149粂の規定により、4分の3以上の賛成が必要であり賛成総代の挙手をお願いした結果、現在出席の総代40名のうち40名と委任状により賛成の総代51名、合計91名の賛成があり、第4号議案は4分の3以上の賛成をもって原案どおり承認可決された。

続いて第5号議案「解散の件」について、議長の指示により中野保険管理人総括補佐から次のとおり説明がなされた。
招集通知の37頁を参照いただきたい。本議案は、当社のすべての保険契約がGEエジソン生命に包括して移転した場合、保険業法第152条第3項第1号により、同日付で当社は解散することになるが、これを確認するものである。

事前質問および議場質問がなかったため、第5号議案の採決に入った。第5号議案の決議には、保険業法第156条の規定により、4分の3以上の賛成が必要であり賛成総代の挙手をお願いした結果、現在出席の総代41名のうち41名と委任状により賛成の総代52名、合計93名の賛成があり、第5号議案は4分の3以上の賛成をもって原案どおり承認可決された。

続いて第6号議案「清算人選任の件」について、議長の指示により中野保険管理人総括補佐から次のとおり説明がなされた。
招集通知38頁を参照いただきたい。本議案は当社が解散することに伴い、清算人1名の選任をお願いするものである。清算人候補者は平成10年から当社の顧問弁護士である明石一秀氏としたい。

事前質問および議場質問がなかったため、第6号議案の採決に入った。第6号議案に賛成の総代の挙手をお願いしたところ、賛成多数により、第6号議案「清算人選任の件」は承認可決された。

続いて第7号議案「清算人報酬額決定の件」について、議長の指示により中野保険管理人総括補佐から、清算人の報酬額は50万円以内としたい旨説明がなされた。

事前質問および議場質問がなかったため、第7号議案の採決に入った。第7号議案に賛成の総代の挙手をお願いしたところ、賛成多数により、第7号議案「清算人報酬額決定の件」は承認可決された。

続いて第8号議案「定款の一部変更の件」について、議長の指示により中野保険管理人総括補佐から次のとおり説明がなされた。
招集通知の39頁を参照いただきたい。変更の趣旨は、当社のおかれている現状を考えると、経営の諮問機関として意見を頂戴するという評議員会の果たす役割もなくなると考えられることから、定款中の評議員会に関する規定を削除したいと考えている。次に変更内容については、表のとおり、評議員会に関する規定である第5章の表題と定款第25条、附則第3条の条文を削除するものである。なお、評議員の皆様には、本総代会に先立ち評議員会を開催し、保険管理人から、これまでの経線と、本総代会の議案について説明し、評議員会の廃止についても了承いただいた。

事前質問および議場質問がなかったため、第8号議案の採決に入った。第8号議案の決議には、保険業法第62条の規定により、4分の3以上の賛成が必要であり賛成総代の挙手をお願いした結果、現在出席の総代41名のうち41名と委任状により賛成の総代52名、合計93名の賛成があり、第8号議案は4分の3以上の賛成をもって原案どおり承認可決された。

続いて第9号議案「監査役選任の件」について、議長の指示により中野保険管理人総括補佐から次のとおり説明がなされた。
招集通知の40頁を参照いただきたい。本議案は、現監査役の任期満了および辞任に伴い、監査役3名の選任をお願いするものである。監査役候補者としては、記載のとおり公認会計士の新沢忠氏、弁護士の三山裕三氏、同じく弁護士の椙谷将也氏である。この3氏を商法特例法第18条第1項に定める社外監査役として選任したい。なお、監査役候補者3名と当社との間には、特別な利害関係はない。

事前質問および議場質問がなかったため、第9号議案の採決に入った。第9号議案に賛成の総代の挙手をお願いしたところ、賛成多数により、第9号議案「監査役選任の件」は承認可決された。
なお、本総代会を以って、現監査役の宗守賢尚氏、倉光保夫氏、熊田淳一郎氏、岡崎一郎氏の4氏が辞任または任期満了により退任となるが、退任に伴う退職慰労金は支払いしないこととしている。
また、さこ川社長以下5名の取締役については、本総代会をもって退任となるが、商法258条に基づき、保険契約の移転時まで引き続きご協力をいただくこととする。退任に伴う退職慰労金を支払いしないことは監査役と同様である。

最後に、議長から保険管理人として総代に次の要請があった。
当社は、今後手続きが順調に進めば3月1日をもってすべての保険契約をGEエジソン生命に移転し、その後は清算会社として清算手続きに入るが、清算会社においても総代会は機能し続けることになるので、現総代の皆様には、今しばらくの間、引き続きご協力を賜りたい。

以上をもって定時総代会の議案審議を終了したため、議長は午後0時35分に閉会を宜した。
前記議事の経過ならびに結果を明らかにするため、この議事録を作成し、出席した保険管理人および出席取締役は次に記名押印する。
平成12年1月14日

東京都渋谷区渋谷2丁目15番1号 東邦生命保険相互会社

議長 保険管理人 (社)生命保険協会
山口 昇
保険管理人 杉山茂八
保険管理人 小杉 晃
取締役社長 さこ川利内
取締役副社長 斎藤邦彦
取締役 大久保寿麿
取締役 今川 浩
取締役 宇野史郎

※編者注 さこ川利内氏の「さこ」は土へんに谷
※編者注 議事録原本には総代名が実名で記録されていますが、インターネットの特性を鑑み、総代A、総代B・・・と記載しています。


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