東邦生命社長の発表文書

平成11年6月4日

東邦生命保険相互会社
代表取締役社長 さこ川利内

業務の一部停止命令の発動について

東邦生命保険相互会社は、昨日、監査法人トーマツから平成10年度決算に関する不適法意見の表明を受け、本日、臨時取締役会を開催した結果、事業継続が困難と判断し、保険業法第241条に定める業務停止命令の発動を金融監督庁に上申いたしました。

この結果、正式に金融監督庁から業務の一部停止命令が発せられましたのでご報告申し上げます。

監査法人の指摘は、有価証券の含み損償却ならびに貸付金の償却・引当等に関して、有価証券約1,200億円、貸付金約960億円、及び不適法意見に伴う税効果額約150億円の総額約2,300億円の追加処理を求めるものであり、その内容は上場株式と国内投資信託等の含み損や外貨建資産に係る重要な為替損益、及び東邦リース向け債権の全額と、平成5年度・平成6年度に実施した不動産売却の際の貸付に伴う担保割れに対するロス見込額などであります。

当社は、平成5年度決算で戦後初の経常赤字に転落いたしました。その後、経営陣の刷新や様々なリストラの実施、外部コンサルティングの導入などを通じて、経営効率の改善に努めてまいりました。

しかしながら、株価の低迷や長期化する低金利などの厳しい経営環境が続く中においては、その改善は甚だ困難となり、その結果として、昨年3月にGEキャピタル社との提携により資本注入を行うとともに、長期的にはGEエジソン生命からもたらされる再保険収益により安定的な収支構造を確立させ、資産の健全化・段階的に進めることとしました。
昨年の提携時においては、「GEキャピタルとの提携により当社の再建を図る」という関係者の一致した認識と理解に基づき、監査法人にも従前通り、適法意見をいただいておりました。

ところが、平成10年度3月期決算に関して、当社の資産の償却・引当等について、前年度に比べて厳しい指摘がなされ、今回の不適法意見の表明に到った次第です。

私どもにとっても、平成9年度の適法意見から一転して不適法意見を表明されたことは突然のことであり、監査法人トーマツに照会いたしましたが、明確な説明をいただくことはできませんでした。

私としては、提携の10年計画を着実に実行させることが、ご契約者の最終的な利益保護に繋がるという信念の下、業務に取り組んでまいりましたが、このような結果を招来させたことにつきまして、ご契約者の期待を裏切ることになり、深くお詫び申しあげます。
誠に申し訳ありませんでした。

以上

編注:社長名中「さこ」は「土」へんに「谷」


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